養育費保証会社の利用には、養育費の安定確保や心理的な負担軽減といった多くのメリットがありますが、手数料の発生や立て替え金額の制限といったデメリットも考慮する必要があります。
保証会社を利用することで、養育費の支払いが途絶えるリスクを大幅に減らせる一方で、追加費用の発生やサービス範囲に制限があるため、どの程度の保証が必要かを十分に検討した上で判断することが重要です。
養育費保証会社を利用するメリット
養育費の支払いが安定して確保できる
養育費保証会社を利用する最大のメリットは、養育費の支払いを安定的に確保できる点です。
離婚や別居後、相手が養育費を支払わなくなるケースは少なくありません。
相手方の経済状況の悪化や、支払いの意思が変わることが一因です。
養育費保証会社は、こうした場合に保証会社が立て替えて養育費を支払うため、支払いの遅れが生活に及ぼす影響を抑えることができます。
心理的な負担を軽減できる
養育費の未払いが発生した場合、通常は支払いを求めて相手に直接交渉する必要がありますが、この交渉は精神的な負担が伴うことが多いです。
特に、かつての配偶者に対して再度交渉することに抵抗がある場合や、直接のやり取りが困難な場合は、養育費保証会社を利用することで、代行して支払いを請求してもらえるため安心感が得られます。
柔軟なサービスを受けることができる
養育費保証会社によっては、立て替えサービスだけでなく、養育費の支払い状況を定期的に確認する監視サービスや、未払いが発生した際の支払い催促通知などのサービスが組み合わされている場合があります。
これにより、養育費の支払いが途絶えるリスクをさらに減らすとともに、家庭の事情や支払い状況に応じた柔軟なサービスを受けることができます。
養育費保証会社を利用するデメリット
保証料や更新費用が掛かる
養育費保証会社の利用には、契約内容に応じた手数料がかかる場合が一般的です。
具体的には、保証会社への月額固定の手数料や、養育費支払い額に応じた一定の手数料が発生します。
このため、受け取る養育費の金額に加え、保証会社のサービスを維持するコストが追加で必要になります。
特に養育費の支払いが安定している場合は、保証料がかえって負担になることもありますので、費用対効果をしっかり検討する必要があります。
立て替えの上限や回数制限がある
保証会社によっては、立て替え可能な未払いの回数や立て替えの限度額が定められていることが多く、長期的に未払いが続いた場合や、支払い額が高額な場合には保証が打ち切られるリスクもあります。
また、また、数ヶ月程度の短期未払いに対応しているサービスが多く、長期的に相手が支払いを行わないケースに関しては、他の対策が必要になる場合もあるため、契約時に確認することが重要です。
利用するには審査がある
養育費保証会社を利用する際には、基本的に利用者(受取側)と支払義務者(相手方)に対して審査が行われることが一般的です。
審査には、収入状況や過去の支払い実績が考慮されるため、場合によっては審査に通らず利用ができない可能性もあります。
保証会社がリスクを負うために一定の条件を設けており、特に支払い能力が不明瞭な場合や相手方が破産などのリスクを抱えている場合には、保証会社から断られるケースも少なくありません。
保証サービス終了のリスクがある
保証会社も経営状況や市場動向により、サービスを終了するリスクがあります。
特に、新興の保証会社などでは安定したサービスの提供が続かない可能性もあるため、契約の際には事前に会社の信頼性や運営実績を確認しておくことが大切です。
万が一、保証会社がサービスを終了した場合、別の保証会社を探すか再び養育費の請求手続きを自ら行う必要が生じます。
相手方との関係が悪化する可能性がある
保証会社を通して養育費の請求や催促を行うことで、相手方がその状況に不満を持ち、関係が悪化するケースもあります。
相手方が経済的な事情などで一時的に支払えない場合や、意図せず支払いが遅れている場合にも、保証会社が督促を行うことでトラブルが拡大する可能性もあります。
契約には債務名義が必要な場合がある
多くの養育費保証会社では、保証を行う前提として「債務名義」が必要な場合があります。
債務名義とは、裁判所が発行する法的な強制力を持つ書類のことで、未払いが発生した際に強制執行を行うための基礎となるものです。具体的には、調停調書、判決書、あるいは公正証書などが該当します。
養育費が未払いになった際に法的な手続きで養育費を確保できる状態を整え、保証会社としてのリスクを軽減するためです。