
養育費保証会社について調べると、必ず行き当たるのが「非弁行為ではないか」という論点です。日弁連が意見書を出し、撤退した会社もある——このサイトは保証会社を紹介する立場ですが、この論点を伏せずに、何が問題とされ、各社がどう対応し、利用者は何に気をつければよいかを正面から解説します。
弁護士法72条と「非弁行為」とは
弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、他人の法律事務(交渉や債権回収の代理など)を業として行うことを禁止しています。これに違反する行為が、いわゆる「非弁行為」です。違反には刑事罰(2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)もある、決して軽くないルールです。
養育費保証との関係で問題になるのは、「元配偶者(支払義務者)への督促・回収を、弁護士ではない保証会社が行ってよいのか」という点です。単純に考えると、保証会社が母親に代わって父親から養育費を取り立てる行為は、他人の債権回収の代行=法律事務に見えます。ここが論点の出発点です。
日弁連の意見表明と撤退した会社
日本弁護士連合会は2020年3月、養育費保証契約のスキームについて慎重な検討を求める意見書を公表しました。趣旨は、立替払いとその後の求償という構成を取っていても、実質的には他人の債権回収を業として行うものになり得る、というものです。この意見表明の前後から、行政が保証料補助を進める動きと、法律家側の懸念とが並存する、いわば「グレーゾーン」の状態が続いてきました。
その後、別記事で解説している通り、ミライネ・小さな一歩・アスクプロといったサービスが相次いで終了しています。撤退の理由は採算性など複合的ですが、この法的な不確実性が事業リスクとして影響したという指摘は少なくありません。

現行サービスはどう整理しているか
現在申込みができる各社は、非弁行為にあたらないよう、おおむね次のような構成を取っています。
| 求償権構成 | 未払い時に保証会社が立て替え、以後は「他人の債権」ではなく「自社の債権(求償権)」として回収する。自社債権の回収は法律事務の代行にあたらないという整理 |
|---|---|
| 弁護士との連携 | 法的手続きが必要な場面は提携弁護士に引き継ぐ。安心サイクル養育費保証は弁護士ドットコムがスキームに参画 |
| 賃貸保証のノウハウ | Casa・イントラスト・ジェイリースは家賃債務保証の大手で、保証業としての法令対応の蓄積がある |
ただし、この整理が裁判所や規制当局によって完全に確立されたと言い切れる状況ではまだありません。将来、規制や解釈が変わる可能性は残っています。当サイトが「保証会社は万能ではない」「公正証書や法的手続きという本筋の備えを先に」とくり返しお伝えしているのは、この不確実性を踏まえてのことです。
契約前に確認したい3つのこと
論点を知ったうえで保証会社を使うなら、契約前に次の3点を確認しておくと安心です。第一に、督促・回収の主体がどう説明されているか。契約書やFAQで「立替後は当社の求償権として請求します」という構成が明示されているかを見てください。第二に、弁護士との連携体制があるか。訴訟や強制執行が必要になった場面の対応が用意されているかどうかです。第三に、サービスが終了した場合の契約の扱い。撤退が続いた市場だからこそ、中途終了時の返金・引継ぎの規定は読んでおくべきです。
そして、保証会社に頼らない備えも並行して持つことをおすすめします。2026年4月施行の改正民法により、金額と支払期日を明記した合意書があれば先取特権による差押えが可能になり、法的手続きのハードルは大きく下がりました。制度の詳細は改正民法まとめを、手段の使い分けは保証会社・弁護士・強制執行の比較記事をご覧ください。
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